ざつおん

30代後半グラフィックデザイナー(女)による他愛もない話。

バーテンダーとインドの共通点

 

#BOOKCOVERCHALLENGE

DAY 4

深い河  /  遠藤周作

 

予定調和だけの毎日になると、脳がゆっくり退化することに気がついた。

 

フリーランスになってからバーテンダーをはじめた理由がソレだった。

 
会社という多数の人間が集まる場に属していると、バッタリ会った人と他愛もない雑談をしたり、帰るタイミングが会った人と飲みに行ったり、予定していなかった小さな出来事が無数に起きる。
それがフリーランスになると、予め約束をした人としか会わないし、想定外な出来事はガクンと減る。意識をして予定を立てないと、人と全く話さない日だってある。
 
そんな生活をしていたら、咄嗟の会話への反応が鈍くなっている事に気がついた。答えは出ているけど、なかなか言葉にならない。脳が感情を言語化するまでの経路が迷路のようになってしまって、舌がもつれて言葉が出てこない。 脳が、シナプスが、刺激を失って明らかに退化している!これはいかん!!
 
週に一日、バーテンダーとして定められた時間内をカウンターの中で過ごし、ふらりと立ち寄ってくれた方とお酒を飲みながら雑談する。
意外な人が来てくれたり、初めましての方と予期せぬ会話で盛り上がったり、偶然隣になった人たちを繋げたり、脳の瞬発力がぐんぐん鍛えられていって、それはとても楽しかった。
 
不測の事態は、人生のスパイスであり、脳の養分なんだなぁとひしひし思う。
 
 
だからある時、彼が突然「来月インドに行く事にした。ずっと行きたかったバラナシに」と突然言い出したときも、「ちょうど休みが取れそうだからついて行こうかな」と乗っかってみたのだった。
ぶっちゃけ、私はその時点でインドに興味がなかったし行こうと思ったこともなかった。
大して興味のない国へ、不測の事態に乗っかって何十万も払って行くことにしたのである。
 
その時点での私のインドへの知識といえば、むげん堂の商品を愛用していた事による雰囲気の想像、スパイスカレー、ヨガ、よくお腹を壊す、大学生が自分探しに行きがち、という程度。デリーという首都は知っていても、バラナシ?なにそれおいしいの??という状態。
 
多くの人を魅了する場所であろうインドは、友人にもファンが多数居る。複数の友人に聞き込み調査をした結果、「たった一週間?!じゃぁ、1都市にしなよ」という意見が多数だった。1週間は長い方だと思っていたのだけど、どうやら少なくとも1ヶ月滞在するのがインドのベターな過ごし方らしく、時間の感覚は日本よりだいぶスロウだよ、と念を押される。
それならば、ということで滞在期間中はずっとバラナシに滞在する事に決まった。
 
 
バラナシ(別名、ベナレス)は、世界最古の都市のひとつとも言われるヒンドゥー教最大の聖地であり、とにかくいろいろとカオスな街だった。
そこで読んだ、現地を題材にした小説が、こちらである。
 

f:id:ZaTN:20200430115629j:plain

深い河 遠藤周作

この本に登場する人物たちは、人探しだったり、背負った何かだったり、欲望だったり信仰だったり、何かしらの熱を背負って「インドへ」という意思があった。内容もだいぶ重いテーマなのでどよんとした気持ちになりそうなところだが、何も期待せずに赴いた私が感じた現地の空気はカラっとしていて、悲壮感がない。

あぁ、私はこれを現地で読んでよかったな。日本で読んでいたら、「バラナシ、とんでもない街…」と思っただろう。(実際、夫はそう思っていたようだし)

私のような、軽い思いつきでインドに来た人も居る。現地で生きる人たちも、訳ありで流れ着いた人や信仰心から訪れた人もいれば、生まれ育った土地だから何も考えずここで暮らしているだけの人だっている。

そういう人々や、生と死もひっくるめてカラりとしたカオス。金持ちから物乞いまで、聖人から悪人までが隣り合わせで暮らして(もしくは滞在して)いる街だった。

この独特のバランス感が、唯一無二と言われ人々を惹きつけているのかもしれない。

 

 

ちなみに、一番の心配だった「お腹を壊す」からは逃げ切れそうだったのだけど、バラナシを後にした最終日の夜行列車の中でトイレに篭る羽目になった。くやしい。

 

 

長くなるので色々エピソードは省くけれど(どっかで小出しにしようかな)、結局、行ってみてどうだったかって。

 

インド、最高だった!!好きになった!!

 

私はぜひまた行きたい。

バラナシはメシマズの極みだったので笑、次行くならご飯が美味しいといわれている南インドかな。

 

 

 

以下、バラナシの記録一部(写真、当時は彼で、現夫)

 

f:id:ZaTN:20200502214014j:plain

f:id:ZaTN:20200502214008j:plain

f:id:ZaTN:20200502214003j:plain

f:id:ZaTN:20200502213955j:plain

路地が多すぎる街。1週間いても迷う。

 

f:id:ZaTN:20200502214026j:plain

f:id:ZaTN:20170426233102j:plain

f:id:ZaTN:20170427102233j:plain

サードゥ(修行僧)たち

f:id:ZaTN:20170428221748j:plain

火葬場。写真撮影は未だに禁忌

 

f:id:ZaTN:20200502214031j:plain

f:id:ZaTN:20170426225240j:plain

f:id:ZaTN:20170425230715j:plain

f:id:ZaTN:20170427230754j:plain

お祭りのようなプージャという儀式は毎晩執り行われる

 

f:id:ZaTN:20170427205411j:plain

f:id:ZaTN:20170428102651j:plain

ガンジス川は沐浴場であり、地元っ子の水泳教室の場でもある



f:id:ZaTN:20170426130441j:plain

f:id:ZaTN:20170428154924j:plain

f:id:ZaTN:20170427200924j:plain

f:id:ZaTN:20170427125008j:plain

f:id:ZaTN:20170427125418j:plain

f:id:ZaTN:20170426114740j:plain

写真撮られるのが大好きなインド人たち

 

f:id:ZaTN:20170427092905j:plain

f:id:ZaTN:20170427092128j:plain

ガンジス川、聖地の対岸は不浄の地と呼ばれている

f:id:ZaTN:20170426145128j:plain

f:id:ZaTN:20170426234000j:plain

f:id:ZaTN:20170426153437j:plain

f:id:ZaTN:20170426122426j:plain

極彩色




f:id:ZaTN:20170426084522j:plain

彼のボートに一番多く乗った

f:id:ZaTN:20170427111826j:plain

手作りの橋!ディストピア世界的でぐっときた

f:id:ZaTN:20170427093047j:plain

ああ、歯列矯正前だなぁ

f:id:ZaTN:20170426090053j:plain

これまたグッとくる手作りのボートで花を売る少年。

f:id:ZaTN:20170426114334j:plain

f:id:ZaTN:20170426123713j:plain

砂埃がすごいので、顔被おう何かは絶対必要。これは現地調達の布。




- 以前のBOOK COVER CHALLENGE

 

 DAY 1


DAY 2

 

DAY 3