タトゥーの柄が決まらない
#BOOKCOVERCHALLENGE
DAY 5
LOVE TATOO / 今村雅彦
タトゥーには、10代の頃からずーっと憧れがある。
友人達は、映画「スワロウテイル」と同じく胸元にのアゲハ蝶のタトゥーを入れてたり、ふくらはぎに綺麗な和彫を入れてたり、海外の洒落た絵本から引用した幾何学模様を入れたりしてる。
動機なんて、勢いとかノリとかそんなモノでいいのかもしれないけど、幼少の頃からヤクザ漫画大好きっ子な私は「刻んだ柄は一生モノ」と重く受け止め過ぎていて、「30歳になった時に入れたい柄にしよう…」と密かに決意していた。
しかし30代も後半な現在、未だタトゥーを入れるには至っていない。
韓国式でワンポイントタトゥーをカジュアルに入れるような時代になったのに、任侠のごとく重い決意から抜け出せず、まだ自分の体に一生刻む柄をどうしたら良いのか、私は決められないのだ。
この本の刊行は1998年。
私が中学生のころのCUTIEだったかZipperだったか…どちらかの特集ページで紹介されていた。被写体の刺激的なエピソードが抜粋されていて、ド田舎から出たことがない私には「東京ってスゲー!自由!!」と憧れを膨らませる材料のひとつとなり、架空の物語のようだった。
しかし、こんなニッチな本が実家付近の本屋に売っているわけもなく、親にねだれるような内容でもなく、通販の知識もなく…入手することは諦めた。
そして、上京してからどこかの古本屋で再会したのだった。
巻末には、すべての被写体の性格や生活、カメラマンとの関係性がわかる文章が綴られていた。
DAY1で挙げた「ライド ライド ライド」もそうだが、ドキュメンタリー写真は、文章がついてくると魅力がグンと跳ね上がると思う。カメラマンは文章力も試されてる。
一般人の、決してスタイルがいいわけではない裸体の生々しさが良い。恋人同士の絡み写真も多く、生き方は皆それぞれ訳アリで、どこか無謀で刹那的で、安野モヨコが描く漫画の登場人物のようだ。
20年以上経った今、当時と同じ柄を体に刻んだまま、彼らはどうしているんだろうな。
被写体と同様に、カメラマンの今村さんは還暦を超えているであろうご年齢で現在何をしているのだろう?とそっと探してみた。
既にカメラマンを引退し(!)、ハーレーを乗り回しつつ自動車整備の専門学校に入学し(!!)、酒を飲んで豪快に酔っ払い、キャンプを楽しみ、アクティブに暮らしていた。
人生しっかり楽しんでる超かっこいい方だった。
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作品から入って制作者を後から知った時、その方が魅力的だとさらにうれしくなる。
結局、タトゥーは憧れのまままだわたしの体には刻んでいないということで、エピソードというよりちゃんと本の紹介になった感。
70歳を過ぎてから自分の意思でタバコを吸い始めたうちのばあちゃんを見習って、私もそれぐらい大人になったら決意できるのかもな。
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