ざつおん

30代後半グラフィックデザイナー(女)による他愛もない話。

漫画少女

 

#BOOKCOVERCHALLENGE

DAY 3

BASARA  /  田村由美

 

恵まれた豊かな自然に囲まれて育っても、それを楽しむ技術がなければ、ただ単に何もなくて退屈な場所というだけだ。

私は青森県の中でも本州最北端に位置する半島で生まれ育ち、少なくとも3代はこの土地で生まれここで生涯を送っている。両親にとってはこの環境がいたって普通であり、改めて魅力を発見したり工夫したりして楽しむようなタイプではなかった。誰かが遠方から遊びに来ても「なにもないよ」「なんでわざわざ」が決まり文句。

私も、東京で暮らすようになって客観的に眺めるまで、地元の良さには気がつけなかった。

 

つまり何が言いたいかって、生まれ育った場所で、物心ついた頃はもう兎にも角にも暇だったのだ。

そんな中で密やかな楽しみとしていたのは、父が持ってくるマンガ雑誌

ジャンプ、マガジン、サンデー、チャンピオン、ビッグスピリッツ、ヤンマガ漫画ゴラク、etc...コンビニの棚にあるほぼすべての週刊 / 月刊両誌が家にあった。

父の兄弟で回し読みした最終地点が我が家らしく、いつも最新のものがテレビの横に積まれていて、それをこっそり(堂々と呼んでいたら怒られた、なぜならほぼ青年向けだから)読んでいた。

 

自転車の補助輪が外れ、自力でそこそこ遠くまで行けるようになってからは、本屋巡りの日々が始まる。1日5時間くらいは余裕で本屋に居た。少女漫画や同人誌、とにかくジャンル問わず漫画という漫画をバサバサと読んだ。

………買って読めや、というツッコミを入れたくなるんだが、当時のお小遣いは500円〜1000円。本は別枠で買って欲しいと思うが、漫画本は嗜好品なのでなかなか買ってもらえないし、漫画喫茶もない田舎。親におねだりのできない性格の長女だったので大目にに見てくださいませ………

 

そんな私的立ち読みワークのなかで一番のお気に入りだったのが、こちらである。

 

f:id:ZaTN:20200429093629j:plain

BASARA 田村由美

少年・青年マンガ、少女漫画の両方が好きだった私に、両方の良さが融合された壮大なファンタジーであるBASARAは最強の物語だった。1990年〜1998年という長期連載なので、私が小学生から中学生にかけて連載されていた思うと恐ろしい長さ!

 

しかし、この本の結末を知るのは、だいぶ大人になってからとなる。

 

BASARAが最終回を迎えんとする中学2年生の頃、いじめにあった。

全員に無視されていたわけではないが、当時仲が良かった子の大半は友達という存在ではなくなってしまった。(この時も変わらず接してくれた子たちのことは一生忘れないし、その後今まで続く人間関係の見極めになった)

いじめの最中は、とんでもない言いがかりや悪口が飛び交うものなのだが、その中に

 

「あいつ、マンガばっかり読んでて気持ち悪い」

 

というのがあったのだ。

中学二年生。中二。厨二。ファッション誌を読むようになり、マイナーなバンドの音楽を発掘するようになり、「少女マンガを読んでいる」というのが幼稚に思えるという思春期真っ只中という背景のせいもある。今思うと超ウルトラスーパー謎の言いがかりだけど、当時はいじめの中心人物が言う〈私の悪いところ〉すべてを直そうとしたのだ。こんな狭い町の本屋で、どこの誰からみられているかなんてわからない。常に誰かに見られていることを意識するようになり、私はしばらくファッション誌とカルチャー誌しか読まなくなった。10代の自意識の出来上がりである。

 

そんなこんなで漫画全般を堂々と好きと言える状態から遠ざかっていたのだが、上京してからは特に隠す必要もなくなった。誰からどうみられてもいいやという解放感!しかも、都会には、漫画喫茶という最高の場所もある!!

 

あるとき、ふとBASARAを最後まで読んでいなかった事を思い出し、漫画喫茶で完結まで一気読みを敢行する。

もう、語彙力ない状態になるが、サイコーーー!!!である。もう、こうふん!!!

わたしを漫画から遠ざけたあの一件を、名作を中途半端に終わらせてしまうに至った出来事を、いろんな角度から恨む。

 

数年後、より大人になった私は、大人であるからゆえの大人買いを決行し、今では全巻が手元にある。数年に一回は読み返しているよ。

 

漫画さいこー!!!

  

なんか文章にすると重い話になってしまったけど、今や酒場ネタにするくらいサラッとした話です!私の口調で再生してね!

主犯者よ超絶不幸になれ、とは一生思うけどね。やーいやーい

 

- 以前のBOOK COVER CHALLENGEエピソード

 

DAY 1

thats-on.hatenablog.com

 

DAY 2

thats-on.hatenablog.com